178万円の壁とはどのようなこと? 税金の仕組みとその改正内容をわかりやすく解説

令和8年3月10

 

労働力不足の解消や給与の手取り額の増加の解決策として、「178万円の壁」の問題が大きな注目を集めています。

178万円の壁」ということばは新聞やニュースの報道でよく見たり聞いたりしますが、その内容を知っている人は案外少ないようです。

この壁の問題が私たちの働き方にどう影響するのか。その内容や、期間限定の措置といった複雑な背景を税理士の視点から分かりやすく解説します。

 

| 就業調整による労働力不足解消と手取額アップ

以前は「103万円の壁」が問題になっていました。

パートやアルバイトの方の年間収入が103万円を超えると、ご本人に所得税がかかってきました。

また配偶者控除や扶養控除の対象から外れ、また会社からの扶養手当もなくなってしまうケースも多くありました。

そのため年間収入を103万円以下に抑えるため、年末になると労働時間を少なくする「就業調整」が大きな問題となっていたのです。

この壁(「天井」といったほうが分かりやすいかもしれません。)を178万円まで引き上げることで、働き控えを防ぎ、労働力の確保とその年収の手取り額アップを同時に目指すのが今回の改正の狙いです。

 

 

| 178万円の壁の中身は複雑

178万円」という数字は基礎控除と給与所得控除の合算ですが、その中身は複数の要素で構成されています。

基礎控除は「最低限の生活を営むために必要な所得には課税しない」という考え方に基づく控除です。

他方、給与所得控除は給与所得者に適用される概算の必要経費のことです。

ふたつの控除共に収入金額が増加するにつれて減っていきますが、下の表の金額はフルに控除された場合の金額です。

 

控除内容

恒久分

臨時 物価高騰分

臨時 政治加算分

合計

基礎控除

62万円

5万円

37万円

104万円

給与所得控除

69万円

5万円

74万円

合計

131万円

10万円

37万円

178万円







具体的には、恒久的な制度分(131万円)に加えて、現在の物価高騰などを反映した臨時的な加算(10万円)と政治な加算

分(37万円)を加えて178万円となっているのです。

 

| 臨時加算分は令和8年・令和9年の特例

ここで注意しなければならないのは、恒久分はこれからも続きますが、臨時 物価高騰分と臨時 政治加算分は、現在のことろ令和8年と令和9年の2年間のみの臨時的な措置であることです。

令和8年、令和9年には178万円の壁(天井)は制度として存在しますが、令和10年以降はまだどうなるか未定なのです。

この点を十分に理解しておきましょう。

 

| 扶養控除などの控除要件も変わります

また基礎控除の見直しに連動して、以下の控除についても控除の要件となる所得金額が引き上げられますので注意してください。

〇 同一生計配偶者及び扶養親族の控除要件となる合計所得金額を62万円以下に引き上げ。

〇 ひとり親の生計を一にする子の控除要件となる合計所得金額を62万円以下に引き上げ。

〇 勤労学生の控除要件となる合計所得金額を89万円以下に引き上げ。

 

| まとめ

178万円の壁がずっと続く制度とはなっていないことを理解することが大切です。

そして政治の行方によってこの制度がどのように変わっていくかを見守りましょう。

 

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