青色申告特別控除が改正される? その改正内容を事前によく理解しましょう。

 個人で事業所所得や、不動産所得の申告をしている人におなじみの青色申告特別控除が令和9年度から大きく改正されます。

実際にお金が出ていく経費とは異なり、青色申告特別控除は記帳の方法や申告の方法で認められる10万円から75万円までの控除ですので、うまく活用すればその節税効果はとても大きいものです。

その改正内容を事前によく理解して、うまく対応できるようにしましょう。



❙ 簡易簿記と複式簿記

まず帳簿の記帳方法から説明をしていきます。

簡易簿記とは売上や仕入、そして経費などを項目別に金額を記録して集計していく記帳の方法です。家計簿などを想定していただければわかるでしょう。

一方、複式簿記とは、よく言われる「借方」と「貸方」に分けて仕訳をしていくのですが、通常の会計ソフトを使用していれば複式簿記で帳簿が記帳されていきます。

その計算の結果、複式簿記では損益計算書(収益と費用の一覧表)と貸借対照表(資産と負債の一覧表)が作成されます。

❙ 紙での申告と電子申告

所得税の申告書を税務署に提出するにはふたつの方法があります。

ひとつは紙の申告書に必要な事項を書き入れて、税務署に提出する方法です。

もうひとつは   e-Taxを利用して電子申告で申告書を提出する方法です。

令和6年度においては所得税申告のうち74.1%が電子申告で提出されているとのことですので、4人のうちほぼ3人が電子申告を利用していることになります。




❙ 55万円の青色申告特別控除は電子申告を要件に65万円に

事業として事業所得や不動産所得を得ている人が、複式簿記で記帳し、紙の申告書で税務署に提出していた場合には、いままで55万円の青色申告特別控除が認められていました。

令和9年度からはいままでの複式簿記の要件にくわえて、紙での申告にかえて電子申告で申告をした場合には10万円多い65万円の青色申告特別控除が適用されることになりました。

一方、複式簿記で記帳をしていても、いままでと同様に紙で申告書を提出する場合には、青色申告特別控除は10万円に大幅に減額されます。

国税当局は、ほぼすべての所得税申告を電子申告にシフトさせようとしているようです。


❙ 10万円の青色申告特別控除には収入制限がかかります

簡易簿記で記帳して、紙の申告書で提出していた場合には10万円の青色申告特別控除が適用されますが、令和9年度からこのような場合に、前々年の売上金額が1,000万円を超えると青色申告特別控除の適用自体が無くなります。

相当高額な収入がある場合には、国税当局は簡易簿記ではなく複式簿記での記帳が必要との考え方のようです。


❙ その他の注意事項

不動産所得のうち業務的な規模(5棟または10室未満の小規模貸家)の場合は、その記帳方法およびその申告方法にかかわらず、青色申告特別控除は最大で10万円となります。

また75万円の青色申告特別控除につきましては、65万円の要件に加えて優良な電子帳簿または請求書データ等との自動連動に対応しているなど、そのハードルが相当に高いのでここでは省略させていただきます。

さらに青色申告特別控除は期限内に申告する必要がありますので、注意をお願いします。


❙ まとめ

改正後の令和9年度からの青色申告特別控除をまとめると次のようになります。

記帳方法・申告方法等の要件

青色申告特別控除額

複式簿記+電子申告+優良な電子帳簿保存

75万円

複式簿記+電子申告

65万円

複式簿記+書面申告

10万円

簡易簿記(前々年収入1,000万円以下) 

10万円

簡易簿記(前々年収入1,000万円超)

 

令和10年3月(令和9年分の所得税から適用されます。)の確定申告に向けて、ご自身に有利な青色申告特別控除が使えるように、いまからその準備をしていくことが大切です。


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